LDの中でも読み書き障害である「ディスレクシア」
前回は「モーラ」「音韻認識」について解説しました。
今回は実際に
文字→音
の変換である「デコーディング」
音→文字
の変換である「エンコーディング」
について解説していきます。
エンコーディング(書き)について
低次レベルの書きは
まだ「何かを書く」という段階ではありません。
文字を頭の中で思い浮かべられているか、という段階にあります。
高次レベルになってくると思い浮かべて書く(文字化)だけではなく
読み手に伝わるように書く、語彙・文法・構成、といった技術も必要となってきます。
就学前は話し言葉中心だったのが
小学生は書き言葉の読み書き経験が増えてくるわけです。
デコーディング(読み)について
低次レベルの読みは文字を音声にするだけです。
小学校低学年で行うような音読や黙読がこれにあたります。
高次レベルの読みはたんなるデコーディングだけではなく
語彙・文法・推論・ワーキングメモリ―・情報統合能力
といった様々なスキルを必要とします。
発達に合わせて
「正確さ」と「素早さ」を兼ね備えた「流暢性」
を身に付けることが大切となってくるわけです。
「流暢な」デコーディングを行うためには?
先ほど述べた
低学年でよく音読・黙読をするという話
デコーディングの力が大きく発達していくのが低学年だからです。
中学生以降は読解能力や語彙力がデコーディング能力と関係していきます。
読解をするにあたって「ワーキングメモリ」の力が非常に重要です。
読解は
- デコーディング
- 音→単語
- 単語の意味を思い出す
- 単語同士の関係を理解する
- 段落の意味把握
- 全体の意味把握
といった沢山の段階を経て行われます。
みなさんが読書するときには、頭の中のワーキングメモリを使ってこれらの作業が行われているということです。
読み書きの苦手さの根本的要因を探す
なぜ読み書きが苦手なのか?
そもそも以下の能力が備わっているかどうかをアセスメントすることも大切です。
エンコーディングは「微細運動」が関わってきます。
3歳では円模写
5歳後半では円・長方形・正方形・三角形の描き分け
ができる発達段階とされています。
発達性協調運動障害(DCD)が書字に影響しているかも見なければいけません。
字は思い浮かべられるけど上手く書けない場合は「微細運動」の苦手さが大きな要因となっている可能性が高いです。
デコーディングを行うには「視覚認知」能力が関わってきます。
4歳では 円・三角形・四角形・・・など15種類の見分け
5歳では 5個の物の大きさの違いの見分け
6歳では 45度(角度)の違いが分かる
といった発達段階であるとされています。
・拗音(小さい「っ」)
・カタカナの「キ」「チ」の見分け
がそもそもできているかどうか?アセスメントする必要があります。
次回は実際にディスレクシアをアセスメントしていく流れを解説します。