発達障害の主な歴史【特別支援】

発達

特別支援の考え方は変化の大きい分野です。

特別支援教室で働いていても、利用者の増加や指導方式、指導方法など多くの変化を感じています。

今回は少し視点を広げて日本での「発達障害」の動向を、年代を追って紹介します。

※知的障害を除いて考えます。

~1980年代

LDという教育的概念が生まれたのは
1963年にアメリカの「カーク」という人が提唱したことがきっかけです。

1975年全障害児教育法(現IDEA)が制定されます。

アメリカでLD教育に関する情報が紹介されていますが
日本の学校現場での認識は全くありませんでした。

日本では

1970年代に養護学校の設置義務化がされていますが
中・重度障害の施策が中心となっています。

1978年に「特殊教育に関する研究調査会」が「通級又は巡回による指導」の提言をしていますが、教育行政には反映されていません。

このことを軽度障害児支援の「空白の10年」といったりもします。

1990年代

LDの子どもの存在が少しずつ知られるようになります。

しかし、ADHD・知的遅れのないASDについては
認識が薄い状態です。

1990年 全国LD親の会 
1992年 日本LD学会
が結成されます。

また
1992年には通級指導教室の設置勧告が行われ
LDに関する基礎研究の必要性も指摘されています。
また同1992年に学習障害等の指導に関する調査研究協力者会議が設置されます。

実際に通級が開始されたのは1993年です。

この頃に
「LDとその周辺にいる子どもたち」という言葉が出てきます。

1999年には日本で初めて文部科学省によってLDの教育的定義がなされました。

2000年~

ADHDや、知的遅れの無いASDが認識され始めます。

「軽度発達障害」という言葉も使われだしています(現在は使われていません)

発達障害者支援法が2005年に施行されます。
2016年には改正され

「発達障害者」とは、発達障害がある者であって、発達
障害及び社会的障壁により日常生活又は社会生活に
制限を受ける者をいい、「発達障害児」とは、発達障害
者のうち、18歳未満の者をいう。

という定義がなされています。

2018年には高校の通級が制度化されます。

文部科学省の統計

通常の学級に在籍する特別な教育的支援を必要とする児童生徒の割合(文部科学省,2022年12月) 

では

8.8%の児童が学習または行動面で著しい困難があるを示しています。

現在の発達障害のイメージ

ここからは私見となります。

youtube、SNSが発展し「発達障害」についても多くの情報が流れるようになりました。
テレビでも発達障害について取り上げられることが増えました。

このことによって
より身近に「発達障害」を知ってもらえるのはとても良い部分だと思っています。

そのため、発達障害のお子さんをもつ保護者は「発達障害」を以前よりは受け入れやすくなっている環境だと思います(以前は「親の育て方のせい」と非難されることも多かったです。)

ただ、デメリットとしては

「ラベリング」されてしまうことがあるという点です。

あの子は「発達障害だから」「ADHDだから」などといった理由で悪いイメージや、誤った認識をされてしまうことがあります。そのため、診断されることを嫌う保護者も少なくないと思います。

今は発達障害について知ってもらおうと、多くの専門家やインフルエンサーが発信しています。
「この子はこういう傾向があるのかな」という支援するためのヒントの1つとして、情報を受け取り偏見をもたずに子どもと接していくのが大切ではないかと思っています。

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