発達障害の診断基準と特性まとめ【ADHD・ASD・LD・DCDなど】

発達

発達障害の診断はDSM-5に基づいて行われることをこの記事で紹介しました。

ここで紹介された発達障害は

どのような基準があるのか?
どのような特性があるのか?

紹介していきます。

アセスメントの手引きとしても活用できるように作ったので
特性と照らし合わせてみていただけたらと思います。

ADHD(注意欠如・多動性障害)の診断基準と特性

不注意、多動性や衝動性
どちらかまたは両方の項目が6つ以上6カ月以上続く時
が診断の基準です。
(DSM-5に基づいています。以下で紹介する特性ではありません)

不注意の特性

  • 興味があることに没頭しすぎる(過集中)
  • 興味が無いことに全く集中できない
  • うっかりミス
  • 話を聞いていない
  • 片付けができない
  • 忘れ物やなくしものが多い
  • 嫌なことを極端に避ける

多動性の特性

  • 動きが激しい
  • 落ち着かない
  • よくしゃべる
  • じっとしていることが苦手

衝動性の特性

  • 順番を待てない
  • 相手が話しているのに話し出す
  • 他の子の遊びや会話に割り込む

これらの特性以外にADHD特有の時間感覚の課題があります。

  • 時間がないのにあわてない
  • 時間があるのに余計な事をしたりぼーっとしたりして、時間が無くなる
  • 遅れたり、相手を待たせるのが平気

統計的情報

  • 子どもの5% 成人の2.5%と言われる
  • 男女比は子ども2:1 成人1.6:1

ASD(自閉スペクトラム症)の診断基準と特性

知的障害がない場合の説明をします。

状況にあったやりとり行動の問題同じパターンの興味や行動・活動の繰り返し
の2つがあてはまる状態です。

持続的・複数の場所でのコミュニケーションの課題限定的な行動パターン・関心とその繰り返し
が診断の基準となってきます。

知的障害ではないASDの特性

  • 自分の都合を優先
  • 一方的に話す
  • 自己主張が強い
  • 相手が年上であっても言いたいことを言う
  • 直接的な表現が多い
  • ことばを表面的に受けとる(遠回しな表現が苦手)
  • 注意されると混乱したり反発したりする
  • 被害的な受け取り方が多い
  • 融通がきかない

ちなみにASDとADHDを併せ持つ子どもは有意に多いです。
どちらか判断に迷った場合は両方の特性をもっていると思って対応するのが良いと思われます。

統計情報

  • 有病率は1%
  • 男女比は4:1

LD(学習障害)の診断基準と課題

文字の読み書き・算数の苦手さが課題ですが
以下に1つでも当てはまることが診断の基準です。
※6カ月以上つづく場合

  • 読むのがゆっくり、よく間違える
  • 読んでいるものの意味を理解するのが難しい
  • つづり字が苦手
  • 書いて表現することが苦手
  • 数の概念や計算が苦手
  • 数学的な推論が苦手

これらの課題は努力してもなかなか身に付けることができません。

実際の診断は総合判断ですが
他の障害と比べて数値ではかる検査があります。
学習スキル検査学校の成績やその変化
も参考にして診断します。

読みの課題

  • 拾い読みをする
  • 文章を読むのに時間がかかる
  • 小さい「つ」「よ」や「ー」など読み間違える(促音・拗音・長音)
  • 文字や単語、文章を読み飛ばす
  • 形の似ている「ぬ」「め」を読み間違う
  • 文節の区切りがおかしい
  • 文の意味が分からない
  • 英語の発音が分からない

書きの課題

  • 書くのに時間がかかる
  • 書き間違いが多い
  • 全く書けない
  • ひらがなだけの文章になる
  • 鏡文字が多い
  • ノートを書かない
  • 句読点を間違える
  • 英語のつづりが覚えられない

算数の課題

  • 数字が読めない
  • 大きな桁の数が分からない
  • 数や量の感覚が分からない
  • 数字と実際の数が結び付かない
  • 指を使って計算する
  • 暗算が苦手
  • 概算ができない
  • 順序が分からない
  • 文章題で、式を立てられない

統計情報

  • 有病率 小学生の5~15%
  • 男女比 2~3:1

DCD(発達性協調運動障害)の診断基準と特性

年齢と比べて明らかに運動が苦手だったり、手先が不器用だったりする。
さらに、それが学校生活や社会生活に大きな影響を及ぼしている。

さらに小さい頃からその特性が出ているといったことが診断基準となってきます。

特性(幼児

  • 物を落としやすい
  • 物にぶつかりやすい
  • ころびやすい
  • 歯磨きが苦手
  • 着替えが苦手
  • ボタン付けや紐結びが苦手
  • スキップやボール蹴りができない
  • ハサミを上手く使えない
  • 折り紙ができない

特性(小学生

  • 縄跳びや跳び箱、キャッチボールができない
  • 消しゴムや定規、楽器がうまく使えない
  • 書くのが遅い、形が整わない、マス目からはみ出す

統計情報

  • 有病率 小学生の5~6%
  • 男女比2~7:1

コミュニケーション障害の診断基準と特性

コミュニケーション障害にはいくつかの種類があります。

言語症

語彙が少なかったり、文の構造が分からない
コミュニケーションに支障がある

と言った課題が小さい頃から出ていることが診断の基準です。

具体例

  • 2語文が出るのが遅い
  • 話してる途中で黙る
  • 同じことを違う言葉で言い換えない
  • 短い文が多い
  • 何が言いたいのか伝わらない
  • 質問に答えるのに時間がかかる
  • 口数が少ない
  • 作文では短い文章を並べる

社会的コミュニケーション症

自閉症と同じようなコミュニケーションの特性がありますが
限定的な行動や関心、活動の繰り返しがありません。

コミュニケーションの課題がありますが、ASD(自閉症)では説明できないような状態の場合に診断されます。

  • 状況に合わない話が多い
  • 一方的に話す
  • 自分の思ったことをそのまま話す
  • 親に対して敬語
  • 先生に友達口調で話す
  • 言葉を表面的に受け取る
  • 冗談や皮肉をそのまま受け止める

他にも語音症や吃音もありますが今回は省きます。

知的障害の診断基準と状態

知的障害は

WISCなどの知能検査と臨床的な評価から知的機能が遅れている
色んな場所での適応能力の問題がある

といった場合に診断されます。

DSM-5では知能指数で分類されていませんが
日本では主に4つの分類がされています。

以下は大まかな指標と考えてください。

・軽度 IQ50~69

  • 運動発達の遅れはない
  • 言葉の遅れはあっても、日常会話はできる
  • 日常生活は大体できる
  • 集団行動や遊びができる

・中度 IQ35~49

  • 運動発達に遅れがある場合が多い
  • 言葉の遅れがある、簡単な日常会話ができる
  • 日常生活に助けが必要
  • 集団行動や遊びは手助けがあればできる

・重度 IQ20~34

  • 運動発達に大きな後れ
  • 言葉の遅れも大きい
  • 日常生活の全てで手助けが必要
  • 集団行動や遊びは難しい

・最重度 IQ ~19

  • すべての発達で大きな後れ
  • 言葉のやりとりは困難
  • 生活には手助けとケアが必須

診断名ではありませんが境界知能と言われる言葉もあります。

・境界知能 IQ70~84(目安)

  • 日常生活や社会生活で課題をかかえやすい
  • 気づかれにくいため支援されなかったり、支援が遅れやすい

以上が発達障害の診断基準と特性のまとめでした!

次回は合併症や二次障害について解説したいと思っています!

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