通級教員をしていると、発達検査、特にWISCの資料を目にすることが多いです。
その数値を参考にしてアセスメントに活用し
実際の子どもの様子と比べたり、指導に活かしたりします。
ただ、稀に
「WISCの結果がなんだか違う気がするなあ」
と思うこともあるのです。
もっとIQが高い/低いのではないか
ということですね。
もちろん、全体の場合もありますし、各指標の場合もあります。
今回は通級教員の立場から
検査結果に誤りがある可能性を3つの視点で考えました。
発達検査は絶対ではないことを前提で読んで下さると幸いです。
※昔取った検査で、その頃から比べて発達している場合は除きます。
①子供の調子や環境
もし検査がその子の能力より
高い/低い
結果になった場合、これらの理由が一番はじめに考えられます。
大人も子供もその日によって体調が違います。
気分・天候・睡眠・病気やケガ、などなど
睡眠不足だと、テスト結果に悪い影響がありますよね。
発達検査も同じです。
ぼーっとしていて、いつもだったらできる受け答えができなかったり、単純作業を間違えたりなどです。
検査を受ける環境で、子どもが緊張したり疲れたり、逆に家のようにリラックスできたりなど
検査結果に影響を与える物は本人の能力以外にも沢山あります。
②検査する人の誤り
発達検査、特にWISCの検査は人によって差が出ないようにルールが厳格に決められています。
口頭質問で〇秒までや〇回まで、など
しかし、行うのは機械ではなく人なのでミスをしたり、うっかりヒントを出したりしてしまうことがあります。
大きく差は出てこないと思いますが
子どものことを気遣って、優しく(甘く)判定してしまうこともあるでしょう。
その場合はその子の能力以上のIQが出てしまう可能性があります。
③統計の信頼区間
統計の学問では
「信頼区間」
というものがあります。
全国100万人の1年生がいたとして、
全員がテストを受けられるわけではありません。
100万人の全員のテスト平均点80点とします。
80点の偏差値は50です。
しかしその中から100人取ってきて平均点を出しても
80点にはならない可能性が高いですね。
人数が多ければ80点に近い可能性は高いです。
少し難しい話にはなってしまいましたが
発達検査は全国の子ども全員が受けるわけではありません。
なので、IQにはブレがあるよということです。
ただ、そのブレは小さいから、出た結果は信用できるよ
というのが信頼区間です。
大体90か95の数値が使われます。
95の場合は
95%の可能性でその真のIQは正しくて
5%の可能性でその真のIQは間違っているよ
ということになります。
やっぱり数学的で少し難しい話ですが、結論を言うと
統計の話でIQが間違っている可能性があるよ(かなり少ないけどね)
ということです。
おわりに
発達検査は絶対ではない
ですが、発達検査から得られる情報はとても多いです。
誤りがある可能性も頭の片隅に置いておくと、より子どもの実態把握ができると思います。