概要
2013年初版です。61ページと短いことに加え、マンガも盛り込んでいることからとても読みやすい本です。だからと言って内容が薄いわけではなく、緘黙とはどのような現象なのか非常に理解しやすい内容となっています!
緘黙のお子さんに関わる大人たちに是非手に取っていただきたい本です。
内容
場面緘黙とは?
話せない理由をこの本ではマンガで分かりやすく書かれています。
まず脳の仕組みからです。
脳には「へんとうたい」という、危険に反応する場所があります。
これを信号に例えて、危ない時は赤になり、心臓がドキドキしたり反射的に逃げようとしたりします。
生まれつき赤信号になりやすい人やなりにくい人がいて、話そうとするときに赤信号になってドキドキすると声が出なくなることがあります。「不安が強くなる」と表現することもできますね。
入園や入学など、環境の変化で話せなくなるケースが多いです。
その子によって状態は
- 不安が強い、動けなくなる
- 家以外では全く話せない
- 話せないけど元気で活発
- 音読はできる
など様々です。
支援方法
不安を減らして話せるようになった元緘黙だった先輩からのお話がいくつか出てきます。
・いろんな場面の不安度を書いてみる。少しずつ不安の低い行動から高い行動にチャレンジしていく。
・勉強を頑張って成績が良くなって自身がついた。
・仲の良い友達ができて、話せるようになって少しずつ他の子とも話せるようになった。
・話せなかった経験を活かして研究をしている。
不安度の場面例は
- 一人で留守番
- お風呂に入る
- おうちで寝る
- おうちのトイレに行く
- 学校に行く
- 習い事に行く
などなど
環境の整え方
子どもの不安を和らげるように接する対応が◎です。
小さいことを褒める・得意なことを伸ばす
逆に当たり前ですが話さないことを責めたり、親が不安な様子を見せたりすると子供もさらに話しにくくなってしまいますね。
とにかく、安心な環境作りが大切なわけです。
学校に対しては、理解と支援をお願いしてみましょう。
家庭での取り組みや、学校でしてほしい対応を伝えます。通級の利用を検討してみるのも良いでしょう。
最後に私から。
緘黙のお子さんは小学生のうちにだんだんと話せるようになるケースが多く見られます。
昔は緘黙で、教員をされている方も周りにいます。
不安を和らげるというと難しそうですが、私は自然に楽しく接していくことを心がけています。
話はしなくても、こちらからの声掛けに表情で応えてくれたりします。
ノンバーバルコミュニケーションも楽しいものです。周りに緘黙のお子さんがいたら、是非笑顔で接してあげてください。
著者
・はやしみこさん
元場面緘黙児の保護者
・金原洋治さん
かねはら小児科院長
かんもくネット会員
・かんもくネット→https://www.kanmoku.org/