【本紹介】特別支援教育が教えてくれた 発達が気になる子の育て方

本紹介

概要

平熱さんが執筆した初めての本。

「特別支援教育は、全人類に有効です」をモットーに、

発達障害のお子さんに関わる大人たち、子育て中の方

難しい言葉を使わずわかりやすく支援のポイントを解説してくれる本です!

特別支援教育は特別な支援ではなく、日常的に触れているものばかり
本当にその通りだなと思いました。大人にも子供にも、この記事を書いている私にも活用できることばかりです。

内容

子どもの自立って?

私は「自立」というと、一人で身の回りのことができるというイメージがありました。

しかし、人は一人で生きていけません・・・

できないことは他の人に頼む
これも必要なスキルです。

この本には

虫歯を自分で治せる人いなくない?」というひとことが書かれています。

(その項目の終わりに、こういう平熱さんのひとことが毎回書かれていて、とても身に沁みます!)

そりゃあ、できることが多いに越したことはありません。

でも、それが練習して本当にできることなのか?周りに助けを求めて生きていけるのではないか?
頼る力もとっても重要なのです。

それを前提として、できたほうがいいスキルの中でさらに自分にできそうなスキルを練習していくことが大切です。

どうしても苦手な事はできなくてもなんとかなると思っておくと、気持ちが楽ですね。

他には

怒らないことよりも怒りを爆発させない
好きな事をして(増やして)、人生を楽しむ

などのスキルも必要ですね。

サポートのポイント

ここでは、アセスメント・環境調整・応用行動分析(ABA)などの内容が書かれていますが

例にもれず”むつかしい言葉を使わない”で解説されています。

ほんと~~~に読みやすいです。

環境を整える

周りがうるさかったり、物がちらかっていたりしたら、集中できない人もいます。

でも、どんな環境で集中できるかはその子、その人によって違います。

どうやったらうまくいくかな?と、その子の能力や努力の外側から助ける
ことができないか考えましょう。

また、勉強や何かの練習、生活習慣など取り組んで欲しいことがある時に、どうしたらまたやりたくなるかの仕組み作りも整えましょう。

仕組みづくりのコツを紹介します。

①コストを減らす
やるべきことに向かうために、必要な手間や時間を減らします。
すぐに取り掛かれるようにする。時間を分割する。などなど。

②うれしくなる気持ちを大きくする
コストがかかる、嫌だなと思うことでも、それより大きな嬉しい事があれば人は動きます。好きな人のためだったら遠くにいても時間とお金をかけて行くし、身なりに気を遣うようにもなります。
この本では、「なみ縫い」を例に出して
ただのなみ縫いをするのではなく、
「好きなキャラクターのコースター」を縫って持って帰れることでうれしい気持ちを大きくする工夫がかかれています。20分作業したら5分休み、というルールを作り①のコストを減らす技も併用できます。

これは他人ではなく、自分自身にとっての手助けになる方法だなと思います。苦手に対処したり、必要な生活習慣を身に付けたり。活用していきたいです。

三色団子

行動には、その前のキッカケと行動の後にある結果があります。

そのキッカケ→行動→結果を三色団子として考えてみましょう。

「どうして言うことを聞いてくれないの!」
という状態がなんで起こっているのかを、この3つの視点から考えます。

キッカケ→なにをすればいいか分からない
行動→できない
結果→やる気にならない

これを

キッカケ→なにをすればいいか分かる
にすれば
行動→できると思える
結果→できたら良い事があるからまたやりたくなる

に変わるわけです。

褒める・叱る

前提として

ルールは最初に伝えましょう。
後出しだと、「えーなんで!?」となってしまいます。

次に

具体的に伝えましょう
「ちゃんと」「きちんと」「ちょっと」では伝わらないかも。
5分、1メートルなどなど

廊下は走らない→廊下は歩く
の言い換えも、より具体的になります。
※これはできれば具体的の方が良いよねということで、絶対ではありません。

そして、何かができていざ褒める時です。

その子が「嬉しい気持ちになる」褒め方をしましょう!
たくさん褒められるのが嬉しい子もいれば、ちゃんと褒めてほしいタイミングで褒められるのが嬉しい子もいます。嬉しくなる言葉があったり、結果でなく頑張りを褒めてほしかったり、様々です。

相手の事をよ~~く見てみるのが大事!

逆に、叱る時は?

まずは失敗しにくい環境作りが大事です。
目の前に工作の材料があって「触らないで!」と言うよりも
触れないように作る直前に渡すのが良いかもしれません。

そして、叱ることは少なめにしておいたほうが良いのですが、叱ることは悪い事ではありません。

注意をする時には

  • 大声を出さない
  • 具体的に
  • 改善策を伝える

を意識しましょう。

この本の例では、校外学習で傘を後ろに突き出して持っている子に対して

「○○さん、一度止まって。この持ち方だと、うしろの人に傘の先があたってしまうよね。どう持つのが良いと思う?」と落ち着いて話す。

という注意の例がありました。

困りの減らし方

困りごとの具体例がたくさん紹介されていますが、その中から4つピックアップして、簡単にまとめてみました。

いつもと違うことが起きると不安でいっぱい。「帰る!」と大騒ぎになる

「いつも同じ」が安心でも、絶対に予定の変更や、トラブルはおきます。見通しをもつことは大切ですが、全部を見通すことはできません。

スケジュールを立てて、大体の見通しは立てた上で

①いつもと違うことを受け入れる
②不安になったときの対応の仕方

をトレーニングしていきましょう。

①はいつもと違う活動を意図的にはさみます。
「いつもと違うこと」はうれしいことにして、
いつもと違うけど、うれしいことを体験してもらいましょう。

例えば

顔を洗う→朝ごはん→着替え のルーティンを
顔を洗う→朝ごはん→チョコを食べる→着替え に崩してみます。

少しずつ慣らしてから、順番を変える・めんどうな活動を入れる・スケジュールの中止、などレベルアップします。

ここで大事なのは子どもがいない間に勝手に決めるのではなく「子どもがいる時に、子どもが分かる形で変更する」ことです。

②の適切な対応は例えば
「大騒ぎする」→「ちょっと休憩したい」と言って10分休む。などです。
できた時には”褒める”もセットで!

学校から帰った後、ぼーっと動画を見続けて、声をかけても動こうとしない

人間はやりはじめるまでが、ハードルが高いです。

30問の問題だったら、5問やって10分動画を見る。など分割していきましょう。

その子に応じて、課題(宿題)とご褒美(動画)のバランスを考えます。
三色団子の考えにあてはめると、ご褒美は「結果」必ず後にしましょう!

元々の問題数が多いことが原因の場合は、30問を20問にしてもらう、などの工夫も必要ですね。

おもちゃ、本などが片付けられず、「片付けなさい」といっても取り掛からない

片付けができない状態の子に「片付けなさい」と何度言っても、できるようにはなりません。

4つの手立てでアプローチします。

①片付けのハードルを下げる
できるだけストレスなく片付けられるように「大きな箱に入れるだけ」など、簡単なレベルにして、徐々に「本とおもちゃで分ける」など難しい課題にしていきます。

②視覚的にゴールを設定する
片付けられた写真を見せて、どうすれば終わるのかを明確にします。片付けられたらご褒美のお小遣いやお菓子などを使うのも良いかもしれません。

③スケジュールを見せる
言葉で言うのではなく、絵や写真、図などで習慣に落とし込む方法です。
ご褒美もスケジュールに組み込んでおくと良いですね。

④片付けそのものを楽しくする
片付けの時に音楽を流して楽しむ。時間を設定して、時間内に片付けるというゲーム感覚にさせる。などなど…できたことを具体的に褒めると◎

せっかちで、相手の話をさえぎる

「せっかち」は問題ではなく「相手の話をさえぎる」ことが問題です。

前提として、話を聞くルールを説明します。よく学校では、
「今から説明をするけど、質問や言いたいことがある人は説明が終わった後に手を挙げてね」
などと言います。

こういった説明で、会話や話を聞くルールを定着させていきます。

それでも聞くのが難しい子もいます。

会話のキャッチボールが難しい場合は、

「今から○○分話して良いですか?」など、相手に”会話のコミュニケーションが苦手”と分かってもらうことで、大分印象が変わります。

落としどころ、折り合いをつけるのも大切です。

もしも、話をさえぎらずに聞けたときはどんどん褒めていきましょう!
少しずつ会話のマナーを身に付けていきましょう。

著者

・平熱さん

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