概要
「子育てブラックジャック」こと臨床心理士の奥田健次先生が、実際に関わってきた子供たちのエピソードを元に、困りごとを解決していく漫画です。
応用行動分析という手法を使って、目からウロコの支援ばかり出てきます。
マネできるかどうかは置いておいて、どの事例&支援方法も必見です!
育児や小学校での指導の考え方の参考になります。
ちなみに4つの事例と1つのおまけ漫画で構成されています。
マンガ版ではない原作では16話あるので、興味が出た方は原作も是非!
内容
!注意!
ここで行われている支援はプロの臨床家が行っています。
決して真似しないでください。
お母さんや友達を叩いてしまうレンくん
1年生のADHDのお子さん。
お母さんを叩く、お父さんをつねる行動があります。
学校でも国語の読み上げが上手くできず、友達から笑われ、お友達の顔を叩いてしまいました。
それから国語が嫌になって「学校に行きたくない!」と言うよになってしまいました。
相談を受けた奥田先生が使ったのは「タイムアウト法」
叩く・蹴るなどの暴力が起きた時に、その場からすぐに離れさせます。
その後、また叩きに行くのでまた離れさせます(漫画では壁にぴったり寄せて、少しだけ動けないようにしていました。)
叩かないようになったら、「たたいてみたら~?」とそそのかしてみます。
繰り返すと自分から「嫌だ!叩かない!」と言うようになったり、先生自身が「叩いちゃおうかな~」と言うと「やめて!」と言うようになりました。
読みが苦手という課題は、レンくんが好きな北斗の拳に関する文章で楽しく引き付けていました。
教室で過ごすのが難しい時には好きな中古車情報誌を見て過ごすのをOKとすることで「積極的適応」の第一歩とする…などなど
いくつものアプローチを応用行動分析の視点
ご褒美と罰を使って解決していきました。
4年生でおねしょをしてしまうレイアくん
おねしょ自体は問題はないけどおねしょが「恥ずかしくて隠したがる」ことが気になります。
環境設定として
・絶対に怒らない、罰を与えない
・安物でいいから布団を2組買うこと→おねしょしても平気という気持ちにさせる
・失敗したときはお母さんが何も言わず洗濯物を干し、事務的に対応すること
といった条件を出しました。
そして一番は「寝る前、30~90分前にできるだけお茶か水を沢山飲むこと」
寝る前におしっこに行くためです。
ご褒美として、おねしょなしの時はフライドチキンのご褒美をあげる&2回目以降はカードゲームのカードをプレゼント。
なんと2日目で成功し、ご褒美のカードも2日に1回、3日に1回としてもおねしょゼロが成功しました!
かんしゃくをおこしてしまうサトちゃん
かんしゃくですぐ攻撃的になり、アスペルガー症候群(現在で言う自閉症)と言われたサトちゃん。幼稚園で友達に噛みついてしまいました。
家では旦那さんの協力も得られず、次第に疲弊してしまうお母さん…
奥田先生はまず「タカラジェンヌ式移動法※先生自身が命名」を試します。
子どもを視線を合わさずに遠くをみつめながら、スッと遊ぶべき場所に移動させます。
怒って戻ってきたらまたやるという繰り返し。
注意や注目を与えないようにと言っても、どうしても関わるしかない場合に使います。
これでひとり遊びができたサトちゃん。しっかりと目を合わせながらシール遊びをします。これは「ヨシモト式」だそうです。
外へ出すと、すぐにトラブルになってしまうので家にいさせているお母さんに対して奥田先生は
「実にもったいない!」
幼稚園は噛みついたら即園長室に連れて行くというルールで頼んで協力してもらいました。
(幼稚園の先生にもタカラジェンヌ式で)
無事サトちゃんは以前の様に外出できるようになりました。
教室からすぐに出てしまうマシモくん
1年生のマシモくんは自分の席に座っていられないことを先生に怒られてばかりです。
それが繰り返すうちに、毎日保健室に通うようになり、ストレスからか、髪の毛が抜ける症状も出てしまいました。
まずは保健室ゼロを目指すことにしました。
保健室をオアシスにするのではなく、教室をオアシスにするという発想で、
まずは自分の座席で戦隊ものの塗り絵をさせることに。
これからの説明はスモールステップです。
教室ではお母さんが座席の後ろについていて、塗り絵が終わったらすぐ次の塗り絵を渡します。
これは「わんこそば式」
3日続けた後、お母さんとの距離を1m話します。これを5日間。
その後は2m離れたところで指差しで作業する。その後は必要に合わせて指差しで指示、この時目を合わせないように。この時点で立ち歩きはなくなったそうです。
次はドアに体を半分挟んだ「家政婦は見た式」さらにその次は廊下をゆらゆら歩いて中はのぞかない。
そこまでできたら、塗り絵や迷路は休み時間だけになりました。
著者
・奥田健次さん