発達障害の「お薬」について解説

発達

はじめに

この記事は発達障害の薬はじめてガイド
という非常に分かりやすく解説されたパンフレットと、私自身が学校で関わってきた子どもとの経験をもとに書きました。(2024年時点)

お薬は飲む・飲まないを簡単に決められるものではありません!
お医者さんの判断を元に服薬してください!

教員同士で気軽に「薬」というワードが出てくることもありますが
保護者に伝える時は細心の注意を払っています。

ここでのお薬の対象は主に「ADHD」「ASD」のお子さんです。

おもな作用・効果

発達障害のお薬は「脳」に作用します。

脳には情報を伝える「神経細胞」があります。

神経細胞では様々な物質のやりとりが行われています。

ドーパミン:喜び・快楽につながる物質
ノルアドレナリン:緊張・不安・集中につながる物質
セロトニン:上の2つが暴走しないように調整する物質

この物質のやりとりを調整していく役割が、発達障害のお薬ということになります。

服薬の主な効果は

  • 気が散って何も手に着かない時間を減らし、落ち着いて座っていられる時間が増える
  • やるべき作業に集中して取り組める

などがあります。

薬の種類(ADHD)

コンサータ(メチルフェニデート塩酸塩)

  • 対象:6歳以上
  • 1日1回・飲んだらすぐに効く・数時間~半日ほど
  • 仕事や勉強に集中できる
  • 午後に飲むと夜眠れないこともある

飲んでいるお子さんは効きが強い印象です。
副作用で食欲が無くなるケースもあります。

ストラテラ(アトモキセチン塩酸塩)

  • 対象:6歳以上
  • ノルアドレナリンの調整作用がある
  • 効果が出るまで2~6週間ということも、少しずつ用量を増やすことが勧められている

インチュニブ(グアンファシン塩酸塩)

  • 対象:6歳以上
  • アドレナリンの調整作用があり、じんわりと落ち着かせてくれる
  • 飲んでいて、眠くなったり心臓がドキドキすることがある、その際はすぐに主治医に連絡!

ビバンセ(リスデキサンフェタミンメシル酸塩)

  • 対象:6歳以上※18歳以上は、18歳未満から飲み続けている人のみ
  • ドーパミン・ノルアドレナリンの調整作用がある。
  • 勉強や遊びに集中できることが多い(それで疲れてしまう場合もある)

薬の種類(その他)

リスパダール(リスペリドン)

  • ASDの子ども5歳~17歳で安全性が確認されている。18歳以上に使われることもある
  • ドーパミン・セロトニンに作用して、イライラや不安を和らげる

エビリファイ(アリピプラゾール)

  • ASDの子ども6歳~17歳で安全性が確認されている。18歳以上に使われることもある
  • うつ状態に使われることもある
  • ドーパミンに作用して、イライラや不安を和らげる・気持ちを安定させる

お薬に関する注意点

お薬は発達障害の困りを減らしてくれることがありますが、本人の特性を完全に無くすわけではありません。お薬を使って安心・集中できる状態にしてから学習やコミュニケーションに自信をもってもらえることが◎です。

合う・合わないもあるので、お子さんのおうちや学校の状態をお医者さんに伝えて方針を決めましょう。

お薬は体重の増加によって増やされていくことが多いです。しかし、ずっと飲み続けなければいけないわけではありません。本人の困りがあるかどうか、が最優先です。

本人にとって本当に薬が必要かどうか考えることが大切です
もしかしたら、お薬がなくてもリハビリやカウンセリングのほうが有効な場合があります。

教育関係者の方は、どうかお薬に関する話を保護者に気軽に話さないでいただければと思っています。保護者・お子さんの「困り」に対するアドバイスの1つとして医療と繋がっていくことが大切なのではと私は思っています。

おわりに

服薬されているお子さんと関わっていると、飲んでいる・飲んでいないの違いが顕著な場合と、あまり変わらない場合があります。

この子は飲み始めてから学校生活が楽しそうだな、と思うケースもあります。

飲んでみないと分からないことではありますが、事前に情報を手に入れておくと納得感や支援の方向性が固まってくると思います。

この記事はお薬という選択肢が出てきた時に、おおまかな情報を知るために活用していただければと思います。詳しく必要な情報は薬はじめてガイドに書かれているので、気になったらそちらを参照してみてください!

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