概要
知的障害&発達障害の子のことが図解付きで分かりやすく解説されています。
それぞれの分野に深く、というわけではなくおおまかな知的障害&発達障害の特性や支援が分かります。
特別支援の入門書として最適です。
内容
乳幼児期からの気になる行動(アセスメント)
この本ではチェックリストで載っていますが、自閉症(ASD)注意欠如多動性症(ADHD)に分けて気になるポイントをまとめてみます。
ADHD傾向
- 音に敏感で集中できない
- じっとしていられない、爪噛み、貧乏ゆすり、食事中の立ち歩き
- 高い所に上りたがる
- 目的のものがあるとそれに突進していく
- 他の人のくつを履いたり、物を使ったりする
- 何度注意しても、同じことを繰り返す
- 物をすぐ無くす
- 食事や着替えのときにぼーっとする
自閉症傾向
- 話しかけても目を合わせない
- 自分に向けて手をバイバイする(逆さバイバイ)
- 欲しいものがあっても、指差ししない
- 他の人の手を取って、自分の欲しいものを取ろうとする(クレーン現象)
- だっこが嫌い
- 姿勢よく座ることが苦手
- 目の前で手をひらひらさせたり、くるくる回ったりする(常同行動)
- 先生の指示からワンテンポ遅れて行動する
- 食べ物の好き嫌いが激しい
- 食器をうまく使えない
- 昼寝をしない、夜眠らない
- こだわりが強い(同じ服、同じ手順、同じ遊び)
- 一人遊びが多い
- 話が一方的、独り言が多い
知的障害では、言葉の理解の発達を見てみます。
1歳、2歳をすぎても意味のある言葉が出てこないと不安になりますが、理解していればOKです。
表出言語、ではなく理解言語を意識します。
言葉を聞いて、分かっているかな?という部分を見てみてください。
1歳6か月・3歳で行われる乳幼児健診が発達支援の入り口になることが多いです。
適切に医療機関と連携していきましょう。
また、我が子が発達障害と分かると親の”障害受容”が大きなネックになります。
簡単に受け入れられないのは当たり前。
受け入れるまでの過程を知ることで、少しではありますが気持ちが楽になるかもしれません。
→りたりこ「自閉症息子のこだわりと、親の障害受容。段階を踏んで関わり方を変えた結果…!?【読者体験談】」https://h-navi.jp/column/article/35029526
発達特性とは?
特性の章を私なりに解釈すると
「スペクトラム」「連続性」
です。
多動や不注意、知的に進んでいる・遅れている
は誰にでもあるものです。
その程度や度合が高く、生活で困りごとが大きくなると「障害」として捉えられます。
原因は様々ですが、大半は生まれつきのものと思ってください。
それぞれの障害の特徴を解説します。
知的障害の特徴
全体的に発達がゆっくりで、何をするにも時間がかかります。
記憶や理解、言葉などの力が弱いです。
主に発達検査でのIQが70未満の場合、遅れがあると捉えられます。
またその中でも、軽度・中度・重度・最重度と区分が分かれており、
通常級に在籍する子もいれば、日常のほとんどで介助が必要な子もいます。
ASDの特徴
「感覚」に特性があります。
この本では「取り組み口が狭い」と表現されています。
主な特性として
- こだわりの強さ
- 人と関わる難しさ
- 感覚の過敏さ
が挙げられます。
ここでいう「感覚」については以下の記事を参考にしてみてください。
ADHDの特徴
多動性・衝動性・不注意
この3つの特性のいずれか、または複数が当てはまります。
落ち着きがない
すぐに手が出てしまう、すぐに飛び出してしまう
気が散りやすい
学校ではこのような行動が気になって、トラブルになってしまうことも・・・
本人の特性は変わりませんが、年齢と共に多動性や衝動性は少し落ち着く傾向にあります。
進学から就労に向けて
就学前は家庭・保育園、幼稚園、こども園・療育機関
3つの場で支援していきます。
就学はこちらから、学びの場を参考にしてみてください。
それぞれの自治体で就学相談を受けてみましょう。
通常級から転籍することは可能なので、担任の先生に相談してみましょう。
中学校・高校は、特性のもった子にフォーカスした学校もあるので、調べてみると良いでしょう。
就労は主に
一般就労(障害者雇用枠)→一般の企業で働く
福祉就労
に分けられます。
福祉就労は
A型事業所→雇用契約を結んで働くため、一般就労に近い。福祉工場。
B型事業所→できた作業に対して工賃が支払われる
の2つがあります。
また、公的なサービスを利用することも大切です
- 障害者手帳
- 療育手帳
- 精神障碍者保健福祉手帳
- 自立支援医療
- 特別児童扶養手当
- 障害基礎年金
これらのサービスを活かしていきましょう。
支援方法
それぞれの障害や全体を通して、支援方法があります。
この本でも紹介されていますがアセスメントができたら、それぞれもう少し詳しく書かれた本を探してみることをおすすめします。
キーワードは
応用行動分析・構造化・感覚統合・指示の仕方
です。
著者
・徳田克己さん(監修)
筑波大学医学医療系教授
・水野智美さん(監修)
筑波大学医学医療系准教授