【本紹介】自己理解力をアップ! 自分のよさを引き出す33のワーク: 見えない長所やストレスを知ろう

教員向け

概要

2020年発行の本です。

「実行機能」という自分の行動をコントロールする脳の機能について書かれた本です。
抽象度がやや高めです。
おとなでも自分自身にあてはめて気持ちよく生活するのにとても役立ちます!

タイトルにあるように、自己理解・自己認知を中心とした本です。

自分で理解していくには小学校高学年レベル~の内容ですが
アセスメントを通して支援者が外側から支援していくには低学年~活用できます。

神経心理ピラミッド
ジョハリの窓

といった概念を元に話が進んでいきます。

難しく思うと思いますが
すべてが自分を適切にコントロールしていくことに繋がっています。

子供を支援していく上で基盤となる考え方ですので、一読してみることをおすすめします。
この記事では本の概要+私自身の解釈を混ぜて解説していきます。

内容

自分の事を知って、うまくいくように工夫する

これが神経心理ピラミッドです。

脳機能障害の方のためのモデルということですが、それ以外の人でもあてはめて考えることができます。

低次レベルの課題を解決することによって、高次の脳機能が活用できるという考え方です。

つまり、下の部分が基礎!

例えば、テストで良い点を取っている子がいたとします。
ゲームに熱中してしまい睡眠不足になったらどうなるでしょう?
本来の力が発揮できません。

本来の力を発揮するために、低次レベル(基礎)から固めていきましょう!
この本では表記されていませんがレベル1~7でそれぞれの脳の機能を紹介していきます。
本来はチェックリストですが、私の解釈で簡単に伝えてみたいと思います。
また、それぞれの対策も一緒に載せます。

レベル①覚醒・神経疲労

何においても、睡眠はかかせません。

睡眠不足になるとイライラしたり、ADHDの状態に似た傾向になるそうです。
小学生は平日9時間以上の睡眠を目指してみましょう。

よく言われていることではありますが
食事時間は一定に・昼間は楽しく体も使って活動・夜更かしは厳禁、です!

また、目覚めて覚醒するには姿勢が大事だそうです。体重の約10%は頭の重さで、姿勢を維持するのは案外難しいです。姿勢を維持するために感覚統合の運動をしてみるのがおすすめです。

次は疲労についてです。
すぐに疲れる・気持ちが不安定・イライラする、ということはありますか?
また、感覚過敏で、音や匂いなどの五感の刺激が不快に思うことはありませんか?

疲れには、肉体疲労と脳疲労があります。
脳疲労は自分で疲労を感じにくく、休んでも回復しないため厄介です。

疲労をためないための、ストレスに対処するコーピングスキルを試してみましょう。

①1回深呼吸
②4秒吸って6秒吐くを10セット
③何も考えず、ただ呼吸している時の鼻やおなかの感覚を感じながら5分間自分のペースで呼吸をする。

今この瞬間に注意を向けてありのままの自分に気づくことをマインドフルネスといいます。

毎日15分続けることで、ストレスを減らし、ネガティブな感情を軽減する効果があるそうです。

レベル②抑制・意欲

抑制が難しいとは

思ったことをすぐに言う・声の大きさコントロールが難しい・力の入れ具合が難しい・じっと我慢できない・すぐにイライラする・怒りが爆発する

などなど沢山あります。

怒りのコントロールは

・きっかけにアプローチ
・爆発にアプローチ
・カームダウンにアプローチ

の3つがあります。

怒りを爆発させないような工夫や、爆発を最小限にする工夫、残った怒りを鎮める工夫を考えてみましょう。

意欲は「やる気スイッチ」と表現されています。

良い方法の1つとして「とりあえずやってみる」があります。

このブログ執筆もそうですが、とりあえずちょっとやってみると意外とどんどんと進むものです。
まずは行動・やってみる、が意欲を高める近道かと思います。

レベル③注意力・集中力

集中の持続には「ポモロードテクニック」の活用が効果的です。

基本は25分集中+5分休憩の1セット
4セットごとに15~30分の休憩を取ります。

できるだけ中断しないような環境調整をこころがけてみましょう。

レベル④情報処理・コミュニケーション

人によって情報処理の得意さは異なります。

①歴史の勉強は時代の順番で覚えたい「逐次処理型
②歴史の勉強は興味ある順にやりたい「同時処理型
③両方できるタイプ

五感にフォーカスすると

①チャートや文字を見たり読んだりして覚えるのが得意な「視覚タイプ
②音声で聞く、語呂合わせで覚えるのが得意な「聴覚タイプ
③博物館に行く、自然観察をするなど体験して覚える「体得タイプ

自分は何が得意か?考えてみてはいかがでしょうか。

次はコミュニケーションです。

  • 相手に物事を正確に伝えにくい
  • 友達にからかわれる
  • 友達の会話スピードについていけずに不安
  • 大声で話しすぎて友達に嫌われているかも
  • 話したいことがうまく話せない

などの困りがあるばあいは周りに助けてもらいましょう。
苦手な事は支援要請するのも大切なスキルです。

レベル⑤記憶力

どんなやり方が覚えやすいかは人それぞれ

手法をまとめてみます。

  • 意味づけをする(漢字の形「山」と実際の山の形の結び付け)
  • 自分に関連付ける
  • 語呂合わせ
  • 達成感の重視
  • 実生活と関連付ける(部屋に東西南北の紙を貼る)
  • 学んだことを誰かに教える
  • リマインダーの活用
  • マーカーで目立たせる
  • 自分でテストをする

レベル⑥実行機能・論理的思考

実行機能

  • 遅刻しないように行動する
  • ゲームの時間を守る
  • 勉強や部活、複数の事を並行して効果的にやる
  • 計画通りにいかなかったときに修正する

など色々なことに使います。

上手くいっていない時は原因分析→対応(自分でやる・誰かにサポートしてもらう)を考えましょう。

物事を継続していくには三日坊主にならないようにいくつかのスキルが必要です。

  • 目標は見えるように貼っておく
  • 家族などにお願いし、やることを忘れたらリマインドをしてもらう
  • 目で見て分かるようにチェックリストを活用する。

21日間継続すると習慣化すると言われているので、そこを目標とするといいかもしれません。

論理的思考

空が曇っている(事実)
雨が降りそう(解釈)
かさをもっていこう(対処)

などの思考パターンです。

今の決断が未来のあなたを決める、と思ってこの先どうなるかを考えてみましょう。


買いたいものを我慢→友達とディズニーにいける
買いたいものを買った→友達とディズニーにいけない

失敗は成功の元です。失敗しながら、論理的思考を用いてよりよい未来にしてきます。

レベル⑦自己の気づき

これが神経心理ピラミッドの一番上の階層です。

がんばっているのに上手くいかない

そんな時に失敗パターンや自分の特徴を考えて

どうやったらうまくいくか考える

これが物事を上手くいかせるコツです。

がんばってるのに遅刻する!
というケースを考えてみます。

ぎりぎりになると気合が入るタイプの人は、ぎりぎりの時間に家を出て遅刻することがあるかもしれません。その人その人の特性に合わせた方法とともに、上手くいかなかった=遅刻した時の対策も考えておくとよいでしょう。

次はメタ認知です。

自分の考えていることや行動を客観的に見て考える
これがメタ認知。

自分をよく観察して

どんな時に怒る?

何が得意?

分析することで自己理解が深まります。

その他

ジョハリの窓

自己理解に用いる心理学モデルです。

セルフアドボカシー

自分の障害などを説明して、自分から合理的配慮をお願いするスキルです。

①私は~~に困っています
②こういう理由だからです
③こういう努力をしていますが、ダメなところもあります
④なので具体的に、いつ
⑤どこで
⑥こんなサポートをしてほしいです

以上の型を使って説明します。

ワークシート

この本には自己認知のための様々なワークシートが用意されています。

内容は小学校中学年~向きな感じです。

時間をかけて1対1で完成させてみてください。

著者

・高山恵子さん
NPO法人えじそんくらぶ代表
ハーティック研究所所長

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